前書き

ファイナンシャル・プラニングの基本は、ライフプラニングです。命・健康の次に大切なものは「お金」ではないでしょうか。お金がなければ「ゆとりのある生活」はできません。ライフプラニングは建物に例えれば、基礎に該当します。基礎が堅固でなければ、建物は砂上の楼閣です。ライフプラン(生活設計)を盤石なものにしてこそ、「ゆとりのある生活」あるいは「将来の不安を軽減した生活」ができます。現在は少子高齢化社会、人生100年の時代です。長生きも経済的にはリスクに該当します。

この科目は6科目中最も大切な科目です。内容のすべてが我々の生活に密接に関係しています。この科目を重視する事は我々の実生活に多大なお金に関する情報を提供してくれますし、2級の試験の他の科目に比べて出題問題数が多いので気合を入れて勉強しましょう。具体的には「学科問題」は10問ですが、実技問題が40問中13~17問も出題されているのです

図1-年代別ライフプラン
図2-新しい人生の門出
図3-ローンに苦しむ夫婦
図4-2世代住宅
図5-老後設計

過去7回分の出題リスト

 

出題リストを概観いたしますと、この科目は大きく分けて5つの問題で構成されていると思われます。①黄色のFPの倫理と技法に関する問題、②ピンクの社会保険の問題、③緑の年金の問題、④水色の教育と住宅資金の問題、⑤橙色の中小法人の財務諸表の問題。わけても緑色の年金関連の問題の多さが目立ちます。毎回3~5問出題されている。


人生の3大資金は、教育・住宅・老後の各資金でありその3つがこの科目に出ているのが特徴です。5つの領域からまんべんなく出題されています。3級にはなかったものとして、中小法人の財務諸表が毎回1問出題されていて、難易度もそこそこ高いのが特徴です

図6-FPに相談
図7-社会保険
図8-年金制度
図9-教育資金
図10-住宅資金

テキストと出題問題の関係

出題リストをテキストに落とし込んでみたのが、資料2のデータです。テキストの記載と出題問題の順番が違っているのは、教育資金計画と住宅資金計画で他は、両方とも同じ順序です。

教育と住宅の記載がテキストでは社会保険・年金より前に記載されているのは、FPに相談依頼が多いのがこの分野である事と記載ボリュームからして先に持ってきた程度ではないでしょうか

5章の社会保険の13問と7章から9章までの年金関係は計26問出題されているのが目立ちます。合計39問はこの科目の総合計70問中の半分強であり、この科目の中心的項目である事がよくわかります

因みに年金も広義の意味での社会保険(図1)なのですが、用途が他の社会保険と違うのと企業年金や個人年金もここで同時に学んでもらうために社会保険と別に記載されています。年金の内、国民年金と厚生年金のみが公的年金に当たります(図2)

図11-社会保険制度(クリックで拡大します)

図12-年金制度(クリックで拡大します)

テキストと出題問題との比較

資料1と資料2を整理したのが資料3の「テキストと出題問題の比較」です。ここでは毎回出題されている超定番問題と2回に1回位の割合で出題される準定番問題を把握していただき、確実にこの科目で高得点を取れるようにしてください。では順に見ていきましょう

1章のFP理論では、「FPと関連法規」が毎回必ず出題される超定番問題です。
2章のライフプラニングの手法の「ライフプラニングの手法・各諸表」は準定番問題です。
3章の教育資金設計と4章の住宅取得資金設計の問題は共に準定番問題で毎回どちらかが出題され、時には両方出題されます
5章の社会保険は「医療保険」と「介護保険」が共に準定番問題で、どちらかが1問出題されます。雇用保険は幅広い分野が記載されていますが必ず出題される超定番問題です。
6章はリタイアメントプラニングの基本という事で老後生活設計について記載されていて正確には「ライフステージ別資産運用」ではありません。「ライフステージ別資産運用」は、このテキストでは他に該当するところがないのでここに記載した次第です。但し内容は常識的のものであり差ほど難しくありません。最近の出題は少ないのですが、準定番問題としておきます。

7章の公的年金の全体像では、全国民強制加入の「国民年金」とサラリーマンだけが加入する「厚生年金」の両方をふくむ全体像と、国民年金だけの被保険者の定義や保険料の納付期限,保険料の免除と猶予等の細かいことが記載されています。幅広い分野の記載ですが全部覚えておく必要があります。
8章は公的年金の給付ですが、給付には老齢給付と遺族給付と障害給付の3種類があるのですが、老齢給付が超定番問題で遺族給付が準定番問題です。障害給付の出題はほとんどありません。(実技で時々出題されます)。ここで注意する必要があるのは老齢給付で、非常に幅広い分野になっています。ここでは説明を省略しますが、公的年金はとても重要ですのでテキストの記載内容は全部理解できるようにしてください
9章の企業年金は「確定拠出年金」が超定番の問題です(国民的人気のある年金です)

10章は中小法人の資金計画の問題で「損益計算書」「貸借対照表」等が出題されます。この科目の中では異色で難易度が比較的高いのですが、丁寧に分かりやすく説明します。

最後に繰り返しになりますが、この科目は実技試験での出題も多いので勉強のやりがいのある科目です。学科試験では満点は無理でも9点を目指して頑張りましょう。

 

「ライフプラニングと資金計画」のまとめ

  • 1
    日常生活に密接に関連した内容で、実技試験にも頻出ですので9点以上を目指して頑張りましょう。
  • 2
    人生の三大必要資金(教育・住宅・老後)がこの科目に含まれます。
  • 3
    社会保険と年金制度が中心的な問題です(毎回5~6問出題)
  • 4
    FPと関連法規、雇用保険、老齢給付、確定拠出年金の4問は毎回出題の超定番問題(確実に点を取ろう)
  • 5
    ライフプラニングの手法、教育資金設計、住宅資金設計、医療保険、介護保険、遺族年金は2回に1回以上出題の準定番問題
  • 6
    損益計算書、貸借対照表は難易度が最も高くなっています。