社会保険だけで大丈夫? 老後は年金だけでいけますか?

「ライフプラニングと資金計画」の科目で見てきましたように、日本は先進国の中でも年金を含む社会保険制度の充実した国です。しかしながら経済の成長の鈍化と少子高齢化の進展で、現在と将来において公的社会保険制度で拠出可能な金額では十分とはいえません。働き盛りの一家の大黒柱の方に万一の事が起きればどうなりますか? 遺族年金だけでやっていけますか? 会社や事業をやめた後の老後生活はいかがですか? 公的社会保険制度で不足する部分を補うのがここで扱う私的保険の「リスク管理」です

「リスク管理」には、命にかかわる「生命保険分野」と住宅の火災・地震や自動車の事故等に係る「損害保険分野」とそのいずれにも属さない病気・ケガを扱った「第3分野」の3つから構成されています。それぞれについて、仕組み・商品内容・税金・法律の規制に関する問題が出題されています。お金の事情は人それぞれです。そのひとにあった保険の選択ができるような力をこの科目の学習を通じて身に付けましょう

この科目では個人の保険が大半ですが、法人の保険利用も一部出題されています。従業員の福祉の為の団体保険や、役員の万一の場合の保険や退職金確保の為の保険です。又、テキストには掲載されていない保険も出題されています。過去問の解答を見ながらここで覚えてください。では実際の出題問題を見ていきましょう

過去7回分の出題リスト

出題の順序は次の様になっているようです
➀保険制度全般:保険法、生命保険の保険料の仕組み、保険料の払いが困難時対応
②生命保険商品:死亡保険、個人年金保険、団体保険
➂生命保険の税務:生命保険の税務、個人年金の税務、生命保険料控除、法人契約の生命保険の経理処理
④損害保険商品:火災保険、地震保険、自動車保険、傷害保険
⑤損害保険の税務:地震保険料控除、損害保険税務全般、法人契約の損害保険経理処理
⑥第三分野の保険
⑦生命保険を利用したリスク管理:家庭のリスク管理、法人の生命保険プラニング
⑧損害保険を利用したリスク管理:家庭のリスク管理、事業のリスク管理

テキストと出題問題の関係

上の出題問題をテキストの記載別に分類すると、右の通りです。ここで気づくのは、出題数の数が、生命保険>損害保険>第三分野の保険となっていることです。生命保険が35問(50%),損害保険が26問(37%)、第三分野が7問(10%),その他2問(3%)となっています。

生命保険が多いのは、FPの学習課題として当然でしょう。商品数も想像以上に多くなっています。又税金問題が多いのは、命の代償としてもうら多額のお金だからでなく、状況によって税目が違うからです。

損害保険は、火災・地震・自動車等というモノ保険をイメージしやすいのですが、傷害保健等のいうヒト保険、対人対物賠償保険、個人賠償保険等の賠償責任保険、所得補償保険という保険もあります。

第三分野の保険は、がん保険と医療保険(入院保険)です。

テキストと出題問題との比較

資料2を具体的に見てみましょう。先の「ライフ」のように毎回出題される超定番問題は、「第三分野の保険」を除いてありませんね。むしり出る可能性が高い部類に属する問題が多いですね(FPKの記号分けでいえば、AとかBの問題です)

1章の「保険の基本」の保険法はかっては頻出でしたがここ5回分はでていませんが、出題の有無にかかわらず基本法ですから覚えておきましょう
2章の「生命保険の基本と商品」、ここはリスクの要ですから「死亡保険」と「個人年金」は毎回出題されると思って臨まれたらいいでしょう。
法人関係は、共に1年更新の団体定期保険と総合号福祉段板保険の2つだけですから、頻度は多くないですけど後の法人の経理処理のところで出てきますので学習してください。尚この章ではまとめの意味で「生命保険を利用した家庭のリスク管理」と「法人契約の生命保険プラニング」が出題されているのが特徴でしょうか

3章は3級レベルの問題ですので省略します
4章では税金の問題です。個人の場合は2つの税金問題に分かれましス。1つは保険金を支払った際の所得控除の問題。もう1つは保険金を受け取った際の問題。どちらも定番の問題ですので完全に点にしましょう。法人の経理処理の問題はややとっつきにくいかもしれませんが、少し時間をかければパターン化していることがわかります。必要経費として扱うところを損金算入という言葉を使ったり簿記用語がでできますが、難しい問題程パターン化しているので一旦理解してみると他の問題より易しいです

5章は損害保険です。火災保険とそれに付随する地震保険及び任意の自動車保険は損保保険の代表的商品です。毎回は独立して出題されていませんが、税金のところや総合問で出題されたり、又実技試験で出題されたりしますので、超定番問題ととらまえていいのでないでしょうか。2級では傷害保険と賠償保険が加わります。3級でも一部出題されていたのですが、2級では更に細かいルールが追加されています。賠償保険では主に企業関係が多いのですが、過去問を履修しながら覚えていくといいでしょう。生命保険同様「損保保険を利用した家庭のリスク管理」や「損害保険を活用した事業のリスク管理」がまとめ問題として出題されています

6章は損保保険の税金問題ですが、地震保険料控除問題以外は全部総合問題です。青色の「損害保険の税務」とは個人が関係する損保保険全般の税務問題で、「法人契約の損害保険の経理処理」は法人が関係する損保保険全般の税務問題です。理解できない時は一度テキストに戻り再学習してみてください

7章は第三分野の問題で、医療保険・がん保険・特定疾病保障保険と該当範囲が少ないので、確実に点を取りたいところです。

 

難易度と得点目標

「リスク管理」とは平たく言うと「保険」です。そういう意味では他の科目に比べて親しみのもてる科目です。法人の経理処理や賠償責任保険のように初めて聞く名称やジャンルもありますが、手も足も出ないといった問題ではないでしょう。ここは頑張って8点は確保するようにしましょう