日本FP協会の合格率(2020年1月実施分まで)

学科・実技の完全合格率

 合格率は40%前後で推移しています。3級の合格率が70%前後に比較すると、明らかに減少し、難易度は高くなっています。3級が入門編であるのに比べ2級は実務レベルですから当然です。しかも6科目あるので対象範囲が広いのも特徴です。

 但し40%というのは、他の国家試験と比較するとそんなに低くありません。宅地建物取引士が15~20%(FP2級も宅建士も、必要勉強時間は300時間といわれています) 行政書士が10~15%、社会保険労務士が6~7%(共に必要勉強時間は1,000時間といわれています。)税理士や公認会計士、弁護士は更に難しくなっています。これらは年に1度の試験に対し、FP2級は年に3回あるのです。他の国家資格に比べれは、要領よく勉強すれば簡単な部類に入るでしょう。

一部合格者数

 学科試験と実技試験の両方が合格しなかった場合でも、どちらか1つでも合格していれば、一部合格者として、実施日の翌々年度末までの期限付きで、受験が免除されます。合格できなかった試験だけを受けて合格すれば、資格が取得できます。

 その一部合格者の内訳は、学科試験が平均7.7%で実技試験は15.1%です。学科試験のみの合格者の倍以上の人が実技試験に合格しているのが特徴です。

受験辞退者数

 2級の合格率と直接関係しませんが、一旦受験を申し込んだ人が辞退している割合が非常に多いことがわかります。13年39回で平均して約25%、4人に1人の割合で辞退者が出ています。独学で勉強しておられる方やFP経験者は、折角申し込んだのに辞退する人は少ないと思われますが、通信教育を受講して学習したものの受験直前になって思うように勉強がはかどらず辞退した可能性が考えられます。通信教育を受講する場合はくれぐれも自分に合った会社を選ぶようにして下さい。

資料1-2級合格率推移等(出典:FP協会ホームページ)

金財との比較(2020年9月以降分の実績は反映されていません)

学科試験の合格率

 下のグラフと統計をご覧いただくとお分かりの様に、学科試験は同じ問題であるにも関わらず、FP協会が40%強あるのに金財は25%くらいです。ダブルスコアとまではいかなくとも大きな差があります。これには2つの理由が考えられています。

 まず、金財の受験生の中には、金融機関に所属する社員たちが、会社での団体申込みにより受験しているケースが多くあります。金融機関の人たちが大量に申し込むのですが、その中には資格取得の意欲がなく、それほど勉強しない人も一定数います。この意欲の差が合格率の差になっていると考えられています。

 もう一つの理由は、将来独立系FPを目指す人(のちにAFP,CFPを目指そうと考えている人)、自主的に資格の取得を決意した人は、FP協会側で受験する傾向があるという点です。

 又、2013年9月以降金財で受験申請する人の数が減少傾向にあります。一方FP協会の受験申請者数は増加傾向にあります。これは後述する実技試験との関係かもしれません。つまりFP協会で受験した方が、実技試験との関係上合格しやすいというこのです。

図1-FP通信講座A社のWEB情報
図2-FP通信講座B社のWEB情報

実技試験の合格率

 学科試験と違って実技試験はそれぞれ試験の内容が異なりますし、FP協会は資産設計提案業務だけですが、金財は個人資産相談業務・生保顧客資産相談業務・損保顧客資産相談業務・中小事業主資産相談業務の4つの中からの選択です。ここでは最も受験者数が多い個人資産相談業務とFP協会の資産設計提案業務を比較してみたいと思います。FP協会が50~60%の合格率に対し、金財は35%位です。こちらもFP協会の方が、金財を上回っています。FP協会の方は、計算問題が多く計算が苦手な方にはやや不向きですが、そうでない人にとってはオーソドックスな問題が多く点が取りやすくなっています。講師自身もやってみましたが、金財よりもFP協会の方が点が取り易く感じました。

 内容的な違いは、FP協会が実務上で相談業務が多く「キャッシュフロー表」の作成が不可欠になっているので、必ずその関連問題が6つは入っている事です。それらはコツを覚えてしまうと簡単に解けるという点で、FP協会の方の実技試験の合格率が高くなっているものと思われます。

図3-FP通信講座A社のWEB情報
図4-FP通信講座B社のWEB情報
資料2-FP協会と金財の学科・実技合格陸比較(出典:各ホームページ)