全ての人にいつかは訪れる相続

いつかは訪れる相続といっても自らの死を現実のものとして受け入れることができる人と、年齢的な面も含めてできない人もいるでしょう。親戚筋でご不幸があり現実に相続を経験した人なら手順を含めて多少はイメージがつくのではないでしょうか。FPのあなたに遺言執行人の依頼が来るかもしれませんよ。相続についてのイロハはFPを目指す人に必須の知識です。過去問の分析を通じて知識を身に付けましょう

過去7回分の出題リスト

相続の科目にも関わらずいきなりピンク色の贈与税の話が出てきます。これは何故でしょう。大まかに申し上げると、贈与と相続はどちらも財産を誰かに与える方法で、生きている間に与えるのが贈与で、死んでから与えるのが相続です。贈与税は相続税の補完税で、相続税法は一つの税法体系の中に相続税と贈与税という二つの税法科目が含まれます(一税法二税目)。

前半は贈与税と民法の話が中心です。後半は贈与税の基礎控除,非課税財産,相続税額の計算方法,債務控除等の相続関係の問題。遺産が現金であれば簡単ですが、現金以外の不動産の場合や株式の場合どのように計算するのかの財産評価の問題。

終盤は相続対策や事業承継対策の問題が中心です

テキストと出題問題の関係

この相続・事業承継が最後の科目となりますが、この科目のテーマは他の科目と違って5章しかありません。実際の相続・事業承継はかなり複雑なのですがFPが知ってくべき分野を限定して確実に理解してもらおうこと事を前提としています

1章の相続の基本とは民法の事です。相続に関連する法律は民法と相続税法の2つですが、相続税額の算出の時は相続税法を、それ以外については民法を適用します。一般法と特別法の関係です。テキストに記載されている民法の内容は、相続の基本です。確実に点を取れるようにしておいてください。出題数は多いのですが、パターン化していていて慣れれば点が取り易いです

2章の相続税法は文字通り相続発生時のお金の問題です。同じ相続でも権利関係が税金間の時とそれ以外の時では解釈が分かれます。何故そうなのかという事が解れば後は簡単です。タックスプラニングの時の、所得税の税額算出の時と同様にルールに沿って計算していくだけです

3章の贈与税の出題が一番多くなっています。現在お金を多く持っているのは高齢者です。生きているうちにたくさんお金を使ってもらうために政府が色々な特別措置法を作っているからです。相続時精算課税制度とかの恒久法以外の時限立法が多くなっています。背景が解れば、後は覚えるだけです。得点源です

4章は現金以外の相続財産をどのように計算して金額を出すかという問題です。過去7回分で12問出されています。その多くは不動産がらみです。

5章は個人及び法人の相続対策の問題ですがその時々によってむらがあり、全然でない場合、1問出題の場合、2問出題の場合があります。詳細は次の項をご参照ください。

 

テキストと出題問題との比較

1章の民法に関する出題は過去7回で19問出題されています。毎回2~3問出題される計算になります。相続とはに始まり,相続人・相続分・相続の承認と放棄・遺産分割・遺言と遺贈と範囲は広いですが、そんなに難しい問題ではありませんので得点源にしましょう。FP試験は法律の改正があると直ぐに出題しますので、遺言の作成方法は変更になっていて2020年1月の試験に出題されています。

2章の相続については毎回1~2問。課税財産と非課税財産の区別、基礎控除額の計算、債務控除、相続税額の計算、申告と納付と範囲は広いのですが対応できるようにしておいてください

3章の贈与に関する出題は毎回3~4問と一番多く出題されています。贈与契約の定義から始まって贈与税の計算方法、課税財産と非課税財産、申告と納付、相続時精算課税制度、配偶者控除の特例、その他の色々な特例等々過去問を沢山こなせば得点できる問題です。

4章の財産の評価は、2問出題が多くそのうちの1問は不動産です。急に傾向が変わるようで戸惑いを感じるかもしれませんが、前の科目の不動産を思い出しながら解いてみてください。上場株式の評価は簡単ですが、取引相場のない株式の評価は大分ややこしいので、概要だけを見ておくようにしてください

5章は相続対策の問題で文章問題として出題されます。その時々で出題問題数が異なり、ゼロの時と1問の時と2問の時があります。1問の時は個人の相続対策、2問のときは事業承継対策が加わります。事業承継対策はややてこずりますが、過去問を通じて理解してください。