FP資格の種類とレベル

FP資格には国家資格と民間資格の2種類がありますが、ここでは厚生労働省が認定している国家資格のFP技能士資格を中心にご説明します。

FP技能士は1~3級のレベル分けがあり、試験実施団体として「金融財政事情研究会(略称:金財/きんざい)」と「日本FP協会」の2つが認められています。試験は学科試験と実技試験があり、学科試験は共通ですが、実技試験は団体により異なります。この講座は日本FP協会の実技試験に対応しています。

図1-FP資格の種類とレベル

金融財政事情研究会(金財:きんざい)の沿革

写真1-70年来の伝統ある金財事務所

70年前に設立された政府系の社団法人で永きにわたり日本の金融業界の人材育成と金融情報を提供してきた団体です。(☎ 03-3352-0771,HPは写真をクリック下さい)

1950年(昭和25年)福田赴夫(後の大蔵大臣・総理大臣)が中心となり、大蔵省所管の社団法人として設立され、金融専門雑誌「金融財政事情」や法律専門誌「金融法務事情」、消費者金融、信販・クレジットカード業界紙「消費者信用」を発刊す

1985年(昭和60年)日本で初めての金融機関業務関連の評価制度である「テラー技能審査」を労働省が技能審査として認定する

1987年(昭和62年)日本で初めてのファイナンシャル・プランナーに関する認定制度である金融渉外技能審査(金財FP)を労働省が技能審査として認定する

1988年(昭和63年)FPセンターを設立、翌年ファイナンシャル・プランナー専門誌「KINZAI FinancialPlan」を創刊

2002年(平成14年)4月「金融渉外技能審査」「テラー技能審査」が廃止され、国家資格として「ファイナンシャル・プラニング技能士」「金融窓口サービス技能士」が追加される

 同年6月厚生労働省が技能検定にファイナンシャル・プラニング職種及び金融窓口サービス職種を追加し、両検定の指定試験機関となる

2011年(平成23年)行政改革に伴い一般社団法人に移行

 

日本FP協会

写真2-日本FP協会本部が入居するビル    虎ノ門タワーズオフィス5階

金財より遅れる事37年、純粋の民間の任意団体として出発、30有余年たった現在個人会員約20万人からなる特定非営利活動法人。金財とともに日本における金融人材育成の中心的な役割を担っている。(☎ 0120-874-147,HPはサイドメニューをクリック下さい)

1987年(昭和62年)任意団体として日本FP協会設立

1990年(平成2年)FP資格審査試験制度を確立

1992年(平成4年)アメリカCFPボードと業務提携合意書に正式調印、日本へのCFP資格制度導入が決定。これに伴い従来の会員資格をAFP(Affiliated Financial Planner)に移行

2001年(平成13年)特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を受け、日本FP協会が公益法人化

2002年(平成14年)4月厚生労働省が国家検定の技能検定として、「ファイナンシャル・プラニング」を追加

同年6月日本FP協会が金融財政事情研究会とともにファイナンシャル・プラニング職種の技能士検定試験の指定試験機関の指定を受ける

2011年(平成23年)3級ファイナンシャル・プラニング技能士検定試験(資産設計提案業務)を開始

国家資格としてのFP技能士の誕生

金融財政事情研究会は金融渉外技能審査(金財FP)の資格認定を、日本FP協会はCFP®、AFPの資格認定を、それぞれ独自に実施してきました。

2001年(平成13年)10月、職業能力開発促進法の一部改訂により、民間機関の活力を活用して技能検定を行う制度として、技能検定の指定試験制度が創設された。翌2002年(平成14年)4月、職業能力開発促進法に基づき働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する技能検定制度の対象職種に「ファイナンシャル・プラニング」が追加され、その技能検定の合格者には「FP技能士」という称号が付与される事とになる。このことは、ファイナンシャル・プラニングが社会にとって必要かつ有益であることが公に認められたものであると考えられる

これを受けて日本FP協会は、「ファイナンシャル・プラニング職種に係る指定試験機関」の指定申請を厚生労働大臣あてに行い、同年6月、同職種の指定試験機関として指定をうけ、それまで独自のFPに関する資格認定の実績を有していた2団体が、複数指定試験機関方式で実施する事となった(1・2級のみ)

2011年(平成23年)金財の一般社団化に伴い、3級においても日本FP協会が参入し現在に至っている

金財と日本FP協会が実施する技能検定の相違点

同じ厚生労働省より認定された団体ですが、試験問題の内容はどちらの団体で受けるかで少し異なります。先述した通り学科試験は共通ですが、実技試験が異なります。学科試験は知識を問う問題で、実技試験は実際の応用問題で計算問題が多く出されます。団体の前身によるのでしょうが、金財は、銀行系受験者用に個人資産相談業務・中小事業主相談業務、保険系受験者用に生保顧客資産相談業務・損保顧客相談業務が用意されています。当塾の講座はFP協会の実施する講座ですので、金財の内容は直接関係しないのですが、後述する「合格のヒント!」に関係しますのでご記憶下さい。では両団体の実技試験の級ごとのタイトルを記載します。

【金融財政事情研究会】
1級 個人資産相談業務
2級 4種類用意されていてその中から1つ選んで受験する。但し毎回出題されるものとそうでないも    のがある
   個人資産相談業務・生保顧客資産相談業務・・・・毎回出題される
          損保顧客資産相談業務・・・・・・・・・・・・・9月と1月の年2回       
     中小事業主資産相談業務・・・・・・・・・・・・9月のみの年1回
3級 2種類用意されていてその中から1つ選んで受験する。毎回出題される。
          個人資産相談業務・保険顧客資産相談業務

【日本FP協会】・・・・・・常に1種類だけの出題の為、選択する必要なし
1級 資産設計提案業務
2級 資産設計提案業務
3級 資産設計提案業務

【参考】国家資格と民間資格

政府系団体が実施していた技能検定に、民間系団体が参入した形になるので、元々金財が独自で実施していた「金融窓口サービス技能士」と新規の「FP技能士」は国家資格で、日本FP協会が独自で実施していた「CFP®」と「AFP」は民間資格となります。両者の違いは、国家資格は一度合格すれば一生有効なのに対し、民間資格は2年毎の研修制度があり、継続して学習する事が義務づけられます。又会費(年会費)の納入が必要となり、AFP12,000円、CFP®20,000円

2級技能士がAFP資格を取得するには、提案業務を含む特別講座の研修を受講する必要があります。(但しレベルは同じです)

FP資格者数と受験者数及び社会の認知度

 日本FPFP協会(以後FP協会と略する)の3級のトータルの受験者数と資格者数が金財に比べて少ないのは、金財が2011年に行政改革の一環で社団法人から一般法人化したことに伴い、FP協会でも同年から3級を実施できるようになったのですが、その間9年の遅れがありそのため少なくなっています。

 2級の受験者が3級の受験者より常に多くなっています。これは3級が不人気という事でなく、次の事由によるものと考えられます
➀3級の合格者の一部が2級にステップアップでの受験
➁実務経験がある人(宅建士・行政書士・司法書士等々)がいきなり2級を受験する
➂FP協会認定の教育機関の通信教育を受講すれば、3級を受験せず、FP経験がなくともいきなり2級試験を受験できる

 FP協会で受験される方には、金財に比べて金融業界以外の方の受験だ目立ちます。会社の総務の方、個人投資家、家庭の主婦のかた、金融に興味をお持ちの方々です。3級は学生さんの受講が目立ちます

 金財とFP協会の18年間の累計合格者数が211万人と云う事は、日本の労働力人口が6720万人(2017年)ですから、ラフに計算すると100人中2~3名の人が技能士資格を持っているという事になりますね。FP協会の協賛会員で協会の認定教育機関である「生涯教育のユーキャン」の実施したアンケートでは2014年から2017年の4年間人気ナンバーワンの資格試験だったそうです。技能検定制度の導入を通じて「FP技能士」は日本社会の認知するところとなりました。

資料1-FP受験者数

資料2-FP有資格者数